大谷にも忍び寄る危険、メジャーでのヒジの故障の現実

エンゼルスの事実上のクローザーだったケイナン・ミドルトンは右肘のUCL損傷が判明し、最悪の場合トミー・ジョン手術(脚注1)で2019年のシーズン終了まで棒に振ることになるかもしれない(その可能性はかなり高い)。

現地5月15日のOC Registerの記事によると、2014年以降だけでもトミー・ジョンを受けた選手は105人に登るという。エンゼルスの現在のロースターでも昨日好投したヒーニー、トロピアーノ、スカッグス、JCラミレスがこの手術を受けている。

大谷選手はエンゼルスの厳格な管理の元、投手としては特に慎重な起用をされているが、あれだけの速球を投げ続けている以上、ヒジを痛める可能性は常に付いて回る。

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OC Registerの記事の日本語訳を紹介しよう。


Angels’ Keynan Middleton, and his balky elbow, are part of a trend

(ケイナン・ミドルトンと彼の動かないヒジはトレンドの一部分)

数年前のことだが、ドジャースのチェアマン、マーク・ウォルターとピッチャーと長期契約することについて論じた際に彼は簡潔に語った。

「ピッチャーは壊れる」

故障のパレードはその後も続いている。

今年の2月のキャンプが始まってからすでに12人のピッチャーがトミー・ジョン手術を受けている。今後が期待されている者もいれば、メジャーリーガーもいる(エンゼルスのJC・ラミレス、パドレスのダイネルソン・ラメット、アリゾナのタイユアン・ウォーカーら)。

13人目がリストに載ろうとしているのか?

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月曜日、エンゼルスのリリーフ投手ケイナン・ミドルトンは右肘をMRI検査した結果、内側側副靱帯(UCL)を損傷していることがわかった。エンゼルスの発表は故意に漠然としており、ミドルトンは「近い将来」にセカンドオピニオンを得るだろうという以上のものはなかった。

しかし、UCLの「ダメージ」というのは決して楽観できるものではない。ケガの程度が問題になるが、ヒジの再建にステム・セル・セラピー(幹細胞治療)が有効な代替案かどうかもわからない。

ギャレット・リチャーズとアンドリュー・ヒーニーは2016年5月に全く同じ選択に直面した。2人ともヒジに幹細胞注射の治療を受けた。

リチャーズはこのセラピーが奏功し、2017年のスプリング・トレーニングにはマウンドに帰って来た。ヒーニーはダメだった。ヒーニーは2016年7月にトミー・ジョン手術を受け、翌年8月までリタイアとなった。

前述のJC・ラミレスは昨年8月に同じくステム・セル・セラピーを受けたが復活はかなわず、先月トミー・ジョン手術を受けざるを得なかった。

ステム・セル・セラピーはやってみる価値はある。なぜならもしミドルトンが手術となれば2019年シーズンまでを棒に振るからだ。

エンゼルスでは先発のタイラー・スカッグス、ニック・トロピアーノ、ヒーニーがトミー・ジョン手術を受け、今ラミレスがリハビリ中で、ミドルトンも近々そうなるかもしれないが、こんな状態はエンゼルスに限ったことではない。球界のトレンドと言って良い。

現在の状況を述べよう。1974年7月にフランク・ジョーブ医師が最初の手術を行ってから1989年まで、11人の投手と2人の野手がトミー・ジョンを受けた。

1990年代には47人、2000~2005年は68人、2005~2010年が61人だったが、この10年は242人で、2014年以降だけで105人にも上る。

ほとんどはピッチャーだが全員ではない。ドジャースのコリー・シーガー内野手が今月この手術を受けたが、彼は野手としては今年3人目で、過去5年では8人目だった。

この数字に対しては、最近のピッチャーは過去には考えられないほど極めて慎重に起用され、投球数は厳密に管理されているという事実を勘案しよう。調べればわかるが、1981年のワールドシリーズのある晩にフェルナンド・バレンズエラは150球で完投したが、これは現在ならほぼ先発投手2人で担う球数だ。

現代は悪いことばかりではない。投球動作というものは不自然なモーションで、どんなスピードであれ野球でボールを投げることのストレス、そして投げ過ぎの危険性は当時よりもはるかに研究されている。

ジョンは2017年のインタビューでこう語っている。「ソフトボールの投げ方は体の構造にかなっている。腕は下から投げるのが理にかなっており、上から投げるようには出来ていないのだ。野球でボールを投げるモーションは、肩の自然な動きに反している」

昔のリリーフ投手は複数のイニングを投げてセーブを挙げ、スターターは35~40試合は先発して、そのうち20~25回は完投だったものだが、彼らはどうだったのだろう?

月曜日、マイク・ソーシア監督はこう語った。「我々は昔はそうやってトレーニングしたものさ。昔の投手は限界以上のことをやらされていたのかは私にはわからないが、40年前と今とでは先発とブルペンをどう使っていくかの意識が全く異なっているのは間違いない。1980年に私がプロ入りする以前は、70年代中盤を通して4人でローテーションを組んでいたし、それが当たり前だったさ」

ソーシアはここで話を一度切ってから付け加えた。

「多くの選手のキャリアはとても短かった。そうでない人もいた。そのままプレーを続けた人もね」

現在ではプロ入りする前に選手の肩は相当消耗している。なぜなら夏の時期、試合の遠征や親善イベントで若いピッチャーはイニングも球数もどんどんかさむからだ。しかしソーシアによると、球団がピッチャーと契約する時には過去にどのくらい投げているのかは十分に調べられ、その結果入団後の投球数は十分に管理できるのだと言う。

それだけではケガを防ぐのに十分とは限らない。しかしまた別の現実もある。ピッチングには寿命がある。そしてトミー・ジョン手術の後でも多くの寿命が残っている場合がある。

月曜夜、エンゼルスのマウンドではそれが示された。2017年は6試合しか先発できなかったヒーニーはヒューストンに対して8イニングの素晴らしい投球を披露した。ディフェンディング・チャンピオンに対して投球数100、被安打4、10個の三振を奪った。

ミドルトンは月曜日に自分のケガの状態を知ってガッカリしているかもしれないが、こんな話を聞けば前向きになれるはずだ。何しろ、彼はまだ24歳に過ぎないのだから。

トミー・ジョン手術(脚注1)
損傷したヒジの靱帯を切除したうえで、反対側の腕や脚、臀部などから正常な腱の一部を摘出して移植することで患部の修復を図る手術。1974年にドジャースの投手だったトミー・ジョンが最初に受けたことからこの名で呼ばれる。当時ドジャースのチームドクターだったフランク・ジョーブ博士が考案した。

トミーは通算288勝をあげているが、手術以降の14シーズンでその半数以上にあたる164勝をあげている。

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