2月12日のLA Times紙はスポーツ面のトップで、大谷の特集を掲載した。キャンプインを目前に控え、昨日のThe Orange County Register紙に次いで、地元紙を大谷が連日ジャックしている。
SAFE CALLとタイトルがついているが、これは大谷をメディアや様々な注目から守り、環境に適応させることを最優先することを意味している。
SAFE CALL
Angels won’t push rookie Ohtani to be the face of the team
(エンゼルスはルーキーのオータニを球団の顔としてプッシュするつもりはない)
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ショーヘイ・オータニは野球界で最も興味をそそる選手かもしれないが、エンゼルスは彼をチームの顔にすることはしない。
スプリング・トレーニング中にエンゼルスが野球界の話題の中心になった日から29年がたつ。
マイク・トラウトは毎年春に注目を集めている。モー・ボーン、ウラジミール・ゲレーロ、アルバート・プホルス、ジョシュ・ハミルトンらがエンゼルスと契約したときも大いに注目を集めた。しかし、その注目は1日か2日続いたら、全国的なメディアの大群は去っていく。
1989年、エンゼルスにはアメリカを魅了する話題があった。生まれつき右手がなかったオリンピックの主人公ジム・アボットは、ミシガン大学から一気にメジャーリーグの先発ローテーションに加わろうとしていた。
アボットは語った。「私が平凡な選手で、プロのレベルでもなければ、片手で生まれたことは話題にもされなかっただろう。しかし同時に、もし私が両手がそろっていれば、このような注目を浴びることもなかっただろう。私は単なる左利きの投手の一人に過ぎなかった。」
アボットが現れるところ、球場は満員になり、カクタス・リーグの敵地球場でもスタンディング・オベーションを集めた。CNN、ABC、CBS、NBC、フィル・ドナフューがアボットとのインタビューのためにキャンプに集まった。数十人の記者がアリゾナの砂漠を横切って長いドライブをして、アリゾナ州ユマでのBゲーム(大学生との練習試合)にまで駆けつけ、アボットのすべての投球を記録した。
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当紙コラムニスト、スコット・オスターは回想した「アボットは困惑していた。彼にくっつくメディア軍団がチームメイトらを踏み超えていくようだった。」
エンゼルスは今週キャンプにショーヘイ・オータニを迎え入れるが、大勢の記者たちが彼の周りを取り囲むであろうことを考えると、とても感慨深い。エンゼルスのキャンプには、世界で最も優れた選手であるトラウトもいるが、最も興味をそそる選手はオータニなのである。
オータニは母国の希望と夢を背負っている。だからネットでも新聞でも、メディア情報が爆発するのだ。俗に言う「日本のベーブ・ルース」は、ルース自身が取りやめてしまったことをやろうとしている。
ニューヨーク・ヤンキースは98年前にルースに投手として投げることはあきらめて、バッティングに集中するように告げた。エンゼルスでは、オータニがピッチングとバッティングを続けることを計画している。
アボットがユマでのBゲームで投げた時、数十人の記者がクラブハウス内を歩き回ることは避けたかった球団は、アボットをインタビューのために外のピクニックテーブルに連れ出した。
オータニが今度の水曜日に初めてメディアと接する時、エンゼルスは彼を近くのホテルに連れて行く予定だ。エンゼルスではそこでの記者数を175人と想定し、カンファレンス・センター内の3部屋を予約した。
エンゼルスはカクタス・リーグで最も古いスタジアムを使用しているので、メディアの需要に対応するためにスクランブル体制を取る。ダイニングエリアの1つをメディア用ワークルームに変え、ライトフェンス裏にもテントを張る。
エンゼルスのコミュニケーション担当副社長ティム・ミード氏によれば、今年のレギュラーシーズンが始まれば、エンゼルスは毎日75〜80人の記者がホームゲームをカバーし、30〜40人がアウェイゲームに来ると考えている。昨シーズンは、アウェイでエンゼルスをカバーしたのは3人の記者だけだった。
ミード氏「我々は準備が整ったと考えているし、同時に全てのことに興奮している。」
エンゼルスは、チームに対する大谷の効果だけでなく、ビジネスへの影響にもエキサイトしている。オータニがエンゼルスのためにプレーすることを決めたアナハイムでの入団記者会見の日、そのわずか24時間後にはチームはシーズンチケットの情報を日本語で提供した。
エンゼルスは、これまでシーズンチケットがどれくらい売れたかを発表する予定はない。セールスマーケティングを担当する副社長のニール・ヴィゼルトが記者と話すことも認めなかった。
しかしミード副社長は、オータニがシーズンチケット、グループチケット、広告、スポンサーシップで、ビジネス・ウェーブを引き起こしたことを認めた。日本のファンがテレビでオータニを追いかけるであろうことを考え、エンゼルスタジアムのカメラ映りが良い場所に社名を表示することに関心のある日本企業とのパートナーシップについても発表する予定である。
ミード氏「私たちは、ビジネスの多くの面で大きな変化を目の当たりにしたよ。球場に過度に日本語の看板を設置するつもりはないし、日本食の店を出店するつもりもない。しかし、既存の店で人気のある日本食を提供することは考えている。」
オータニを見るために日本から飛んでくるファンには、特に関心があるだろうが、アナハイムとオレンジ・カウンティへの観光をプロモートしているVisit Anaheimという団体は、エンゼルスと共同して、日本のファンに対してオータニを見るだけでなく、ディズニーランドやオレンジ・カウンティの観光名所を巡るツアーパッケージを公開する予定だ。
Visit Anaheimのマーケティング担当上級副社長、チャールズ・ハリス氏 「オータニを見たい日本人観光客を歓迎するにあたってのコンセプト作りを行っている。」
遠くからファンがやってくる現象は彼にとって初めてではない。彼は以前ドジャースの広報担当者で、1994年時にチャン・ホー・パクが韓国生まれの初めてのメジャーリーガーになった時代を経験しているからだ。
エンゼルスは、南カリフォルニアのすべての広告塔にオータニを載せるつもりもない。
ミード氏「オータニは、文化、メジャーリーグ、そしてチームメイトに適応しなければならない23歳の青年なんだ。それはビジネス的要素と同じくらい球団にとっても重要なことなんだ。」
結局のところ、トラウトはまだアナハイムでプレーしている。アルバート・プホルスは3,000本安打まで32本で、17本ホームランを打てばケン・グリフィー・Jrを追い越して、歴代6位になる。
エンゼルスはオータニを獲得したが、ジャスティン・アップトンと再契約し、ザック・コザートとイアン・キンズラーを獲得してロースターを強化し、9年ぶりのポストシーズンでの勝利を目指している。
エンゼルスは2010年に日本の産んだ最大のスラッガー松井秀喜と契約した時に、同じように注目された時があった。しかし、松井は35歳で、メジャーリーグのキャリアの終わりが近いことがわかってしまった。
エンゼルスの広報担当者エリック・ケイ氏は「松井の時の対応はケーキの上にトッピングをバラまくくらいのことだったと思う」と語った。 「オータニの場合はケーキ全体を作りあげるほどの用意が必要だ」
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