2月9日、エンゼルスタジアムのあるオレンジ・カウンティで広く読まれている地元紙The Orange County RegisterはWeb版で大谷選手の長文の特集記事を載せた。同新聞社に勤務する日本人記者であるTomoya Shimura氏が寄稿している。長文ではあるが、日本語に訳して紹介したい。その後半である。
Shohei Ohtani: Who is the Angels’ new guy?
(ショーヘイ・オータニ:エンゼルスの新しい男はどんなヤツだ?)
((1)から続く)地元紙が大谷選手の大特集(1)
スポンサーリンク
アナハイムへの道
オータニを狙うのは日本のチームだけではなかった。
メジャーリーグのスカウトはオータニを高校時代からずっと見ていて、オータニ自身もチームメイトに自分の最終的なゴールが米国でプレーすることだということを隠そうとはしなかった。
彼は日本のドラフト会議の前に、「日本のプロ野球へは行かずに、高校卒業後はまっすぐに米国へ行く」と発表した。そんな選手はこれまでいなかった。
また、最近のテレビのインタビューでも「野球選手として、私はトップを目指し、本当に高いレベルでプレーしたいんです」と語っている。
オータニ「当初、私は日本のプロ野球に入りたいと思っていました。しかし、その目標に近づくにつれて、もっと高いレベルでプレーしたいと思うようになりました」
その発表の後、ほとんどの日本の球団は、オータニをドラフトで指名しないことを決定した。ファイターズを除いて。
スポンサーリンク
ファイターズのドラフトポリシーは、どんなことがあろうとも、一番優れたプレーヤーを指名するということだ(日本ではどのチームもオオタニを指名できる。複数のチームが指名した場合はクジ引きで行き先が決まる)。
ファイターズのスカウトのオーフチは「オータニと最初に会った時、彼は本当の意図や反応をあまり見せなかった」と語った。
オーフチ「高校生ではなく、大人と交渉しているような気がして、難しかった。彼はそういう意味で本当に賢いんだ。そのうち、オータニには3つの夢があることがわかった。米国のメジャーリーグでトッププレーヤーになること、長い間トップレベルでプレーすること、そして誰もがなし得ていないことを達成することだ。」
ファイターズは戦略を変えた。オータニの夢を達成するために、自分たちがどのように役立つかに焦点を当てて売り込んだのだ。「最初に日本で成功を収めてから米国へ行った方が、米国で成功する確率は高くなる」とオータニに呼びかけた。
ファイターズは、米国で成功した(もしくは成功しなかった)全ての日本人プレーヤーと韓国人プレーヤーのデータを彼に示して、自らの主張の正しさを訴えた。
そして、ファイターズは、彼に投手と打者の二刀流をさせることを示唆した。オータニは後に、二刀流の提案が日ハム入りを決断した大きな要因であったと語っている。
オータニとの交渉は日本の全国的なニュースであり、オータニに言い寄ろうとするファイターズの戦略はビジネス戦略に過ぎないと叩かれた。
クリヤマ「オータニに二刀流をやらせることは、彼の才能を考えるとごく自然な提案だった。オータニがメジャーに行く時に投打両方のオプションを持つこともできるじゃないか。」
ファイターズとの1ヶ月間の交渉の後、オータニは、少なくともしばらくの間は、日本でプレーすることを決めた。
お金ではなく、夢
クリヤマは、日本では批判を浴びたが、オータニに二刀流でプレーさせる約束を守り続けた。
いくつかの試行錯誤を行って、最終的にチームはオータニを先発投手として使いながら、先発の合間の数試合に指名打者で起用した。
オータニの成績が上昇するとともに、批判の声は小さくなっていった。
スポーツ・ニッポンで、オータニのルーキー・イヤー以来、取材を続けてきたナオユキ・ヤナギハラは、「人々は、オータニは2年目になって真価を発揮し始めたと気づいた。もしオータニがメジャーリーグで成功できないようであれば、他の日本人プレーヤーは誰も成功できないだろう」
オータニにとって、最も厳しい批評家は自分自身かもしれない。オータニは「何も達成していないし、満足もしていない」と度々口にしている。
クリヤマ「言動を控えめにしようと思っているわけじゃない。彼は本当に自分のやりたい野球がまだできていないと思っているんだ。」
オータニは5年間、チームのトレーニング施設に隣接するファイターズの寮に住んでいた。オータニはたとえ休日でも、毎朝ジムでトレーニングしていた(今もしているかもしれない)。彼はまた、どこへ行くにもサプリメントを持ち歩いていて、そのサプリメントはタンパク質以外のものという話は今のところ聞いたことがない。
日本の若い選手にとって、年配のチームメイトからの夜の誘いを断るのはなかなか難しいが、オータニは滅多に飲みに行ったり、夜の街へ繰り出したりしない。
「彼はナイスなキッドさ」とオレンジ・カウンティで育ち、オータニの日本の最後の3シーズンはチームメートだった元大リーガーのブランドン・レアードが言う。「彼はとても静かな男なんだ。自分自身のことに集中している。それが彼のルーティンなんだ。」
レアード「彼の仕事に対する倫理感は、私がこれまでに見た誰よりもハードだ。いつも何かをやっている。ストレッチングだったり、ソフトトスだったり、ティーバッティングだったり。いつも野球と関係のあることをやっているよ」
オータニは昨年、ファイターズから年俸250万ドルを受け取っているが、その管理は両親に任せっきりだ。日本のメディアによれば、オータニは毎月約900ドルの小遣いを受け取るだけで、お菓子(中でもクレープがお気に入り)を買う以外にお金を使うこともない。
オータニは、アメリカ人のチームメイトと北海道でファンタジー・フットボールに参加していた。「彼はそのリーグで唯一の日本人だったのさ」と2016年のシーズンをファイターズで過ごした元メジャーリーガーのアンソニー・バスが言った
オータニは1勝しただけだったが、それはフットボールの知識が不足していたからだろう。
バス「私にとって最も印象的だったのは、オータニのスーパースターとしてのステータスと、良きチームメイトとしてのステータスを使い分ける能力だ。彼は本当に偉ぶらないんだ。」
おそらくオータニの性格を最も雄弁に語る事実は、23歳で米国に渡るという決断だ。
もし彼が25歳になるまで待っていれば、過去に国際的なプロチームに所属していたプレーヤーへの支出を制限するメジャーリーグのルールに縛られることはなかった。もしオータニが待っていれば、2億ドルものお金を手にしていた可能性がある。
その代わりに、彼はエンゼルスから230万ドルほどの契約金を手にした。そして2018年はメジャーリーグの最低年俸の54万5千ドルでプレーするのだ。
オータニはアメリカに行く決断をした時に日本語で「私は自分はまだ完全なプレイヤーからはほど遠い」と語った。
スポンサーリンク
